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第一章
JR天王寺駅は平日の昼間でも人で一杯だった。
珍しく昼から休みを貰った私は友人とのランチの約束のホテルのカフェに急いでいた。
帰り際に課長がなんやかんや用事を押し付けたけど主任の浮田さんの口添えで何とか帰れた。
私は課長の不倫をたまたま目撃してから課長は辛く当たってくる。
課長はなんだ、強いて言えば今時流行らない家庭を省みないタイプ。
子どもがいないからそうなったのか、そうだ子どもがいても同じなんだろうな。
乗り継ぎの階段を登っていく。
今の時期ダーク系の服の人の多い中、赤のレザージャケットを着た一重まぶたの切れ長の青年と目があった。
その人は背が高くスラッとしていて素敵な感じの人だった。
一目惚れ?もうそんなことはないだろう私は、しかし、その人を見つめすぎて、階段でこけそうになった。
どじな私。
「大丈夫ですか?」
その人は私に手を差し伸べてくれた。
恥ずかしさと、それ以上のどういっていいかわからない気持ちも手伝って私はしばし、下を向いていた。
電車が通り過ぎた階段に2人が取り残された。
「ありがとうございます、私・・・どじで・・・」
「いいえ、そんな。じゃあ僕はこれで。先を急ぎますので。」
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