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第二章
もう一度、ふれられるなら、そのぬくもりを、思い出に・・・
「はははは、ちびはもうお腹すいたのか?」
足元にまとわりつく茶色の猫はニャーニャー鳴いていた。
「ハハジャ、トリハモウナイノカ?イチド、オオキナトリヲイッピキタベタイ!」
その時の私は白髪にボロい着物、掘っ立て小屋みたいな家に住み占い師みたいなことをやっていた。
「ハハジャ、ハハジャ、チビナニカホシイ。」
「お食べ、鶏肉が少しある。」
「ウミャーウミャー。」
人は私を物乞いとも仙人とも占い師とも言う。
追い払われたり、拝まれたり色々なのである。
私には見えないものが見える。
聞こえないものが聞こえる。
齢50を超えますます感性が冴えていった。
猫の声も聞こえ、風の声も、場所の声も聞こえる。
信じる人には真実を伝えた。
「さあちび、ごはんが済んだらお休み、今日も寒い。」
「サムイ。サムイ。フカフカフトンデネタイ。」
「ふかふか布団はないわ、くっついてお休み。」
明日の夜は皇帝陛下にお会いしに行かねばならぬ。
いい卦が出れば良いが。
暗闇の中、ちびの寝息だけが聞こえる。
いつものように深い呼吸の後、神からの声を聞く。
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