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しかし、次の週もその次の週もお城からの使いはやってきた。
皇帝はありすぎる問題の中にいたのだった。
命を削り、ようやく多くの信託を伝えた頃には季節が一番寒い頃になっていた。
「これを陛下から賜りました。」
見れば、金製の壺と小さな布団みたいな袋が目の前に置かれていた。
「これは?」
「湯を入れてお使いになれば朝までぐっすり眠れます。」
いただいたもので暖を取りながら今年の冬は幾分楽に過ごせた次の春、新しい妃が城に上がっていた。
それに連れて政治がらみの勢力争いも激化していた。
なんとかしないとと思って、考え事をしながら歩いていると、
「老師、お命頂戴します。」
と、声が聞こえた。
そのあとは何もわからなくなった。
私は海岸の岩場でよく考え事をしながら歩いていた。
それを知られ、岩の上から突き落とされたのだった。
体が宙に浮いていた、いや魂が浮いていた。
私は何をしているんだろうか、そうだあのちびはどうした。
孤独な私のたったひとりの家族、私がいなければ飢えるだろう。
私は、若い時何度か子をなしたが育ったことはなかった。
それで婚家を追い出され、実家からも疎まれた。
住んでた家にはある人から譲り受けた、今でも、どうして譲り受けたか覚えていない。
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