番外編SSその1 月光花の憂愁

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それから看護学校を卒業して、今は総合病院の看護師をして働いている。 コウ兄のお母さんも看護師をしていたから、いろいろアドバイスをもらっていた。 「麻子の面倒はちゃんと見るっていっただろ? 妹みたいなもんなんだから。一度決めたことは最後まで責任を持つことが俺の信念」 そんなことも言ってたよね。高校卒業して看護学校に行ってがむしゃらに勉強してた時は、将来コウ兄の役に立てるようになるんだ! ってそればかり考えてた。 でもそればかりじゃないんだよ。……コウ兄。 私、コウ兄の隣に立てる女の子になったかな? 近頃はそんなことも頭の中によぎるのよ。 コウ兄のお母さんが亡くなって、離婚したお父さんがコウ兄を引き取ることになって、その家の後継者になるって聞いた時、遠くに行ってしまうような気がした。別な世界に住む人みたいに。 大変だったでしょ? コウ兄のことだからたくさん勉強して努力もしてきたと思う。その気持ちが分かるから私、コウ兄の役に立ちたいって言ったのに。
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