『BACK‐END』

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「僕は氷花君にコスプレして貰って、画像データにしたいよ」  温科は、俺には個人的に写真を撮らせて欲しいという。 「それは構いませんが、個人の観賞用でお願いします」  どこかに、映像を流さないで欲しい。自惚れているわけではないが、自分の写真がどこかで悪用されていると怖い。 「まあ、悪用はしないよ」  温科が、会社のデータの使用方法を教えてくれた。会社には有用なデータが、幾らでも埋もれている。 「氷花君は憶えるのが早い」  でも、温科程、有効活用はできない。  その日は、一課の資料作成で終わってしまった。  それから数日は、営業一課と組んで、外回りと、柴田と組んで売り込みに行った。柴田は、本当にいい奴で、下の面倒もよく見る。女性にも人気で、こまめに土産も買っていた。  金曜日になると、又、飲みに誘われたが、今度は一課の定例の飲み会だというので、遠慮しておく。 「まだ、一課の面々と飲むのは緊張するからさ」  誘ってくれたのは嬉しいと、付け加えておく。  家に帰ると、遠見から機械の調整依頼がきていたので、慶松に伝言を残すと遠見の家を訪ねてみた。  「どこの調整ですか?」
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