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これで、有真は結構な女好きであった。既に中学時代から、彼女の妊娠騒動などを起こしている。有真は田舎では、既に隠し子が、二桁になっていると陰口を言われている。
「彼女と結婚してください」
「それは、それだよ。護浩ちゃんは、超別格でしょう?だって、護浩ちゃんだよ」
全く意味が分からない。
「ただいま」
やっと慶松が来たので、有真を引き剥がすと椅子に座らせた。
「氷花が二人いる!」
慶松まで、同じように驚かないで欲しい。
「俺達は双子ではありません。こっちは、四歳年下、それに目の色は違う。俺は紺色でしょ、こっちは黒」
慶松が見比べていた。
「……微妙」
でもと、慶松は笑う。
「あのさ、身長が違うでしょ。有真君、百九十近いでしょ」
その違いの方が明確であった。
それにと、有真がトイレに行くと慶松が付け足した。
「有真君は未開通でしょ。氷花は、開通済み」
それは慶松だけが知っていることで、他の人が見ても分からない。
「……それは、違いが出るのか?絶対に分からないだろう」
「いいや、すぐに分かるよ。俺が来ると氷花は、身体が反応してエロい。フェロモンが出て来るみたいな感じだよ」
有真がいるところで、口説かないで欲しい。
「石田さんに、痛くない方法を聞いたよ。最初ゆっくりじっくりで、じんわりじわじわ。次にアクセルを少し踏んで、最後はターボだそうだ」
慶松は、俺が困ると分かっていて言っている。でも、本当に聞いたようで、慶松は詳しくメモを取っていた。
「車の運転の事ではないよね?アクセルってどこだよ」
そのメモを覗き込むと、唸る。慶松、字は綺麗なのに、絵が酷い。幼稚園児でも、まだまともな絵を描けそうだ。
「手の器用さと、絵のセンスは別物だな」
「よく言われるけど、俺には分かる絵だけどなあ」
人間が遮光器土偶に見える。遮光器土偶とベッドインはしたくない気もする。
「土偶……」
二千年くらい前だったら、慶松の絵も天才だったのかもしれない。
有真がトイレから帰って来たので、慌ててメモをポケットにしまった。
「氷花、遠見さんが暇なので遊びに来いと言っている」
行ってもいいが、有真の相談は何なのであろう。
「有真、相談事って他人に聞かれても大丈夫なのか?」
有真は、少し下を向いた。
「大丈夫だよ」
では、遠見の家に移動しよう。
「遠見さんの家に行くか……」
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