『BACK‐END』

7/150
前へ
/150ページ
次へ
 有真はゴールデンウィークに、高校時代の仲間と会う約束をした。仲良しグループで、同じ中学から、同じ高校に進んだ仲間であった。大学はそれぞれ違ってしまい、何だか疎遠になってしまった。そこで、揃って会おうということになった。 「でも、俺と御調(みつき)は、バイトの都合で合流が遅れてしまいました。  御調は有真の親友で、同じ大学に進んでいた。有真が米好きならば、御調は牛好きであった。御調の夢は、世界中の牛乳を飲み歩き、世界一おいしい牛乳を作る事であった。 「バイトって?」 「ひるめし屋という居酒屋です」  昼飯なのに、居酒屋なのか。そこの賄い料理で、腹痛を起こした人間が幾人も発生してしまった。原因は、生牡蠣のようで、誤って生牡蠣では食べられない物を、賄いで出してしまった。  実家に帰るはずだった、有真と御調は無事であったが、働ける店員がいなくなり、急遽出勤していたのだ。 「やっと、合流できると、集合場所に行ってみると誰もいなかった」 「単にハブられただけではないの?」  有真が必死に首を振っていた。俺も、有真の幼馴染なので、そのメンバーを知っているが、そういうイタズラはしそうであった。 「俺も、イジメかと最初は思いました。でも、戸塚の親が、俺に息子、健巳(たつみ)の居場所を聞いてきました」  有真が、戸塚の両親に、自分は遅れて来て誰とも会っていないと言うと、戸塚の親は慌て出した。 「その時で三日、戸塚は家に帰っていませんでした」  不思議に思って、他のメンバーの家に電話をかけてみると、皆、実家には帰っていなかった。携帯電話に掛けても、電波が届かないというアナウンスが流れるだけであった。  そしてその二日後、再度、有真は御調と集合場所に行ってみた。 「皆で集まろうとしていたのは、キャンプ場のバンガローでした。十日程、借り切っていました。儲け時でしたが、そこは雨漏りがするので、貸し出せず、キャンプ場の持ち主は幼馴染の三田(みた)の家でした」  空きにしていると、イタズラされるので、三田が親に頼まれ監視する約束をしていた。そして三田は、仲間を呼んだ。  だから、三田までいないのはおかしい。監視を頼まれていたのだから、どこかに行ってしまう事ができない。有真がバンガローの周囲を歩いていると、不審者と思った管理人が寄ってきた。有真が事情を話すと、三田は家に帰っていると教えてくれた。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加