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「2万円ですね」
少女はもともと10万円以上もするライターだとは知りもしないので、その値段に頷いて、「それでいいです」と答えました。
「じゃあ、こちらに記入してください。あと身分証をお願いします」
そう言われて目を落とした用紙には『18歳未満の方とのお取引は出来ません』と書いてありました。
少女はその用紙を男性に突き返すと、台座の上に乗ったライターを掴んで質屋から飛び出していきました。
質屋には売れないけれど、たしかに高級ライターなのだと分かった少女は、そのライターを買ってくれる人を探すことにしました。
数日前から風邪ぎみだった少女は、今はもう激しく咳こんでいました。
しかし、明日までになんとかお金を少しでも作らないといけません。
少女はコンビニに立ち寄ると、紙とペンを買い、震える手で『高級ライター売ります』と書いて、ガード下に座り込みました。
時刻はすでに深夜の12時を回ろうとしており、行き交う人もまばらでした。
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