金色の星

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街は仕事のない人で溢れていました。 昨日まで働いていた会社から突然解雇された人たちが、戸惑いながらケータイを片手に仕事を探しています。 公園には炊き出しを受け取る人々の列が長い線を作り、年末の街の風景も、どんよりと黒ずんで見えます。 100年に一度の未曾有の不況とちまたでは紙面を飾っています。 しかし少女は、「だから、どうしたのだろう?」と心の中で思っていたのです。 少女は年の割に長身で、母親譲りの長く艶やかな黒髪で端正な顔立ちだったため、実際の年齢よりもずっと上に見えました。 少女が生まれたのは、東京のど真ん中、新宿の富久町というところでした。 子供のころから高層ビルの森に囲まれて育ったのです。 狭く薄汚れた空。 そう人々は言います。
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