金色の星

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少女が受話器に向かって告げると、若い女性の声が返って来ました。 「どなたですか?」 後ろでは何か騒がしく話す話し声が聞こえています。 「あの、梅花さんいらっしゃいますか?」 「あら、お婆ちゃんの知り合いですか?」 「えぇ、まぁ…」 少女が答えると、一時の沈黙が流れました。 「あの、お婆ちゃんが、昨日亡くなりましてね。今晩お通夜なんですけど、いらっしゃいますか?」 少女がその言葉までを聞くと、ブーガタンという音と共に通話は終了していました。 お婆さんに自分の家の住所は教えたことはあるのですが、お婆さんの住所を少女は知らなかったのです。 お婆さんは、きっと自分と会っていることを父には話していないのかも知れないとその時少女は思ったのですが、それも口にすることはありませんでした。 とても寒くてお腹の空いた少女は、そのままファーストフード店でハンバーガーセットを買い、お腹を満たしました。 窓の外を見れば、クリスマスのイルミネーションの中、寄り添うカップルが街の通りを行き過ぎて行きます。 少女の手元には千円と小銭が残るばかりでした。 家に帰っても電気もガスも止められてしまっているので、寒いのに変わりはありません。 しかし、いつまでもここにいるわけにはいかないので、少女はまたストールを頭に被せて、家までの道を歩きました
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