金色の星

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少女がアパートの玄関までやってくると、1枚の貼り紙がしてあるのが見えました。 『明日までに家賃を支払わなければ、退去してもらいます。』 少女はその紙を見つめながら、しばらく立ち尽くしていました。 家賃はいったいいくらなのかも少女には検討もつきません。 暗いアパートの部屋に入り、ただ足を抱えてうずくまりました。 「お母さん、どこに行ったのかな…」 次第に暗闇に目が慣れてくると、少女は机の上に置いてあった母親の宝石箱に手を伸ばしました。 少女は、その中のライターを一つ手に取ると、火を点けました。 シュポッ という音と共に、部屋の中は眩しいくらいの灯りで照らされました。 手元にあるライターには『スナックみゆき』と刻まれた文字が浮かんでいます。 それは、少女の母親がやっていたスナックの名前でした。
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