第十四章 月が知っている 四

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「誰、だったのだろう」  いつから入れ替わっていたのだろう。 俺が会った木村は、最初は有真が幼稚園の時だったと思う。 それから、見続けていたのに、気付かなかったというのだろうか。  翌日、会社に行くと、川越に呼び出された。 殺人鬼の出た地区が、俺の出身地であったので心配したらしい。 「すごく近所ですが、家族は無事です」  それ以上を言う事ができない。 川越は、目を細めて俺の表情を確認していた。 「氷花君、嘘が下手だよね。まあ、無事ならいいよ」  川越もあれこれ知っているようだ。  俺は、柴田が気になって様子を見に行ってしまった。 俺が余計な事を言ってしまったせいで、今は違う部署に交渉に行っていた。
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