第一章 逆まわりの時計

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 慶松は、俺が避けていると気付いていて、あれこれ策を練っている。 慶松曰く、あんまり間があくと、又、初めてに戻るので痛いだろうという。 「氷花の弟?」 「そう、電話では相談できないっていうからさ」  大学に通う弟、氷花 有真(しが ゆうま)が来るという。 「彼女に子供でも出来たかな」  兄の孝弘には、もうすぐ子供が産まれる。しかも、出来ちゃった結婚であった。 「そういう悩みならいいけどさ」  慶松は、ならば一緒に悩みを聞こうと言ってきた。 俺よりも、慶松の方が相談し易いというのは分かっている。  ラーメン屋松吉でも、よく慶松に相談している客がいる。 慶松は、二枚目で女性にすごくモテる。しかも、優しく気さくであった。
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