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翌日は士気を上げるためのちょっとした宴会が開かれたり、それぞれ作戦の確認や装備の確認が行われた程度だった。
剣狼団のメンバーはそれらに参加せず、各自で好き勝手過ごしていた。
団長であるテリーは装備のメンテナンスを行っていたが、別行動となるシェーザですらイセリアとドットと談笑していた。
そして決戦の日。
数え切れないほどの人が集まりひとつの群れを作っていた。
味方の塊は、目標である要塞を正面に一つだけ。
テリーはせめて斜めに構えるよう進言したが、総大将はそれを拒否。
正々堂々、バカみたいに正面から挑むという。
兵の錬度も低く、数も少なく、地の利も取られている。
よくこれで挑もうと思ったもんだ。
テリーはそう思いつつ、仲間の無事を祈る。
「諸君!この日が来たッ!!」
そう怒号を上げるの総大将である将軍。
わざわざ塊の先頭に立ち、演説をするその姿にテリーは学校の朝礼を思い出す。
兵はその演説に士気を高めつつ今か今かと待つ。
「我等の土地を踏みならそうとする輩は今ッ!あの要塞に引きこもっているッ!!
我等の激しさに奴らはッ!怯えッ!竦みッ!悪さをした童のように閉じこもったッッ!!
ならばノックしてやろうではないかッッ!!!
扉をブチ破りッ!頭ごなしに怒鳴りつけてやろうではないかッッ!!
ここはッ!お前たちの土地ではないとッ!
ここはッ!我等の祖先たちが作った居場所だとッ!
ここはッ!貴様らが来ていい場所ではないとッッ!!
戦士たちよッ!叫べぇッ!
怒りのままにッ!連中の首を切り落としッ!骨を砕きッ!思い知らせてやろうッッ!!
我等は正義の軍勢であるッッ!!
愛する者のためッ!友のためッ!今その手に持つ正義の鉄槌を振り下ろせぇッッ!!!
全軍ッ!!突撃ィッッ!!!」
【ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアア!!!!!】
将軍の号令とともに走り出す軍勢。
その数およそ20000。
待ち構える敵の数、およそ35000。
先頭に立つ騎馬隊が走り出す。
それに続くように歩兵たちが走り出す。
遅れるように魔術を使える少数名が走り出す。
走る音は地響きとなり、要塞へメッセージを送る。
殺しに行く。
ハッキリとしたメッセージを、帝国防衛軍に叩き付ける。
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