それぞれの戦場

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突然現れた魔術に動揺するフューリー連合軍だったが、矢の雨を防ぐそれを見て仲間の援護とすぐ理解していく。 連合軍は先ほどまでの勇み足ではないが、確実に敵要塞へと向かう。 それを眺めている帝国軍ではないが、迫りくる敵は矢に伏せず、連合軍を待ち構える集団は半数程度。 このままでは突破される。 そう判断した帝国指揮官は急ぎ散らばっていた軍をひとつにまとめ始める。 「まずい....このままでは敵が!」 それをすぐに察知した将軍。 今すぐにでも突撃命令を出そうとする彼にイセリアは言葉で制す。 「やめて。」 「貴様....銀狼団の....。だがこのままでは....。」 「問題ない。計画通りだから。」 「なに?」 計画通り、という言葉に怪訝を覚える将軍。 しかし、魔術によって被害は最小に抑えられてることも事実。 将軍は歯がゆい想いをこらえ、全軍に焦らないように言葉をかける。 そうして、全軍が接敵するころには帝国軍は全軍集合していた。 前方で悲鳴と怒号が交じる混沌とした中、ドットがイセリアに声をかける。 「おでの出番?」 「そうね。露払いお願い。」 ドットはイセリアに確認し、腕をぶんぶんと数回回すと味方を押しのけて最前線へと目指す。 それを見ていた将軍はイセリアに再び声をかける。 「いいのか?一人で。」 「かまわない。それより気を抜かないで。」 「む?」 「魔術で防いでるとは言っても全部は防げない。運悪く私に刺さってみて、魔術は解除されて敵に捕まった状態で矢の雨を受ける。」 「....おい!誰でもいい、この女の護衛につけ!」 将軍へそういうと、将軍は急ぎ数人の護衛をイセリアに付ける。 そして、ドットだが。 最前線の一歩手前までやってきていた。 戦況は劣勢。 魔術で無駄に数を減らさずにいたが、やはり錬度の差は大きく、帝国軍に蹂躙されていく連合軍の姿しか見えなかった。 ドットは難しいことは考えず、近くに吹き飛ばされた連合軍兵の亡骸を持ち上げる。 その手に握られたバスターソードを手につかむ。 強引に亡骸からそれを奪い取ると、ドットはそれを軽く手に馴染ませる。 「ウオアアアアアア!!」 ふと顔を上げると、メイスを振り上げた帝国軍の姿がそこにいた。
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