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広い世界。
たくさんの国。
生きる人と、狙う異形。
この世界ではたくさんの種族が生きる。
人は集まり世界の主導権を握り。
エルフは【魔術】と呼ばれる独自の技術により孤高を進む。
亜人は時に人と手を取り合い、時に人から奪う。
そうやってたくさんの種族と人間がそれぞれの形で暮らす世界で、彼らは今日も生きている。
「ダンチョ。おかわでぃくで。」
「ほいよ。ドットは今日働いたからもっと食っていいぞー。」
「ぶほほ!」
「団長、ドットに甘ぇなー。」
「でも確かにドットがんばった。いいと思う。」
「確かにな。ほんじゃ俺は先に竜馬に餌与えてくる。」
「いってらっしゃい。」
焚き火を囲んで4つの影。
2m半はある大きな影。
背中に自分より頭ひとつ大きい程度の大剣を背負う影。
足元に杖を寝かせ、耳が鋭く長い影。
そして、皿を片手に大きな影におかわりをする影。
それはとある一家の家族風景。
周りの森の木々を照らし、周囲から自分たちのテリトリーを強調する。
大きな影、ドットと呼ばれた豚面のオークは盛られた皿を軽く平らげると皿を男に渡す。
「ダンチョ。おかわでぃ。」
「はえーよ!」
ドットは舌足らずな口調で団長と呼ばれた男に皿をもう一度突き出す。
団長はそれを受け取るともう一度焚き火の上に吊るされた鍋の中身をよそう。
「それにしても今日は忙しかったろう。」
そう労いつつ、団長はドットに皿を渡す。
ドットはスプーンでそれを一口食べるという。
「いつもどおでぃ。ぶん殴った。」
ドットはそういうなり、また一口。
団長はそんなドットに苦笑いを浮かべつつ、静かに食事を進めるもう一人の仲間に話を振る。
「イセリアはどうだった?」
イセリアと呼ばれたローブに身を包んだエルフの女は単調に言う。
「普通。別に苦労しなかった。」
クールなその一言に団長はまた苦笑いを浮かべる。
「どうにもウチのメンバーはマイペースだ....。」
団長はそういいつつ、今度は自分のぶんの皿に料理を盛り付ける。
それに便乗してイセリアが自分の分の皿を突き出すと、団長は自分の分を後回しにし、イセリアの皿に料理を盛り付ける。
イセリアは皿を受け取るなり一口食べ、静かにまた食事を始めた。
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