孤狼たちは飯を喰らう

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「団長、そろそろ飼葉(馬の餌である干草)がなくなりそうだ。」 そういって馬車がある方向から男が戻ってくる。 団長より頭ひとつ大きいその男は空いてる場所に戻るなり座り込む。 団長はそんな男の分の皿に料理を盛り付けながら言う。 「そうなんだよ。そろそろ一度街で調達しねえと。」 「普通の馬ならともかく、ウチの馬車馬、竜馬だからなぁ。」 「近いうちに買出し行くから、そん時ゃ手伝えシェーザ。ほれ。」 「っしゃうまそー!」 団長から皿を受け取ったシェーザと呼ばれた男は待ちわびた食事を受け取ると、スプーンで口に運んでいく。 しばらく談笑しつつ食事を進め、全員が食事を終了すると団長は蓄えていた水で洗いながら全員に話しだす。 「ほんじゃ、とりあえず一区切りついたし報酬の話と今後の話をするぞー。」 そう団長が声をかけると、それぞれ自由に過ごしていた三人は焚き火のそばに集まり団長の話に耳を傾ける。 団長は洗い物をしながら話を切り出す。 「とりあえず、今回の依頼も無事達成。副目標の敵将軍の首もシェーザが持ち帰ったし、主目標の敵要塞の陥落はイセリアとドットのおかげで楽勝だったからな。依頼主も喜んで報酬を払ってくれたぜ。」 「よっしゃーい!」 「当然。」 「旨いもん、食えでゅか!?」 団長の話に返ってくるそれぞれの反応。 団長はまぁまぁとそれぞれをなだめ、先に自分の話を済ませる。 「ただ、よそうより長期戦になったのは確かだ。だから依頼をこなす前に近くの街に買出しに行くから、シェーザはそのときは手伝いな。」 「あいよー。」 「次の依頼、何かないの?」 「近いうちにアルガス帝国が近くの小国を取り込むなんて計画を耳にした。小国の方か、帝国かどっちかから依頼がくると睨んでる。」 「それなら安心だな。」 「楽するなら帝国に呼ばれたいが、小国側に付ければ報酬は期待できるぞー。」 「どうして?小国の方が報酬は期待できないのでは?」 「普通ならな。帝国の近くは鉱山が豊富でな、小国とはいっても金は余りあるぐらいなんだってよ。」 「金あでゅなら、いっぱいもらえでゅ?」 「そういうこった。ま、なんにしろとりあえず帝国領まで行かなきゃならんから、しばらくはのんびりした旅になるぜ。」
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