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小国が集まっての連合。つまるところ戦果の取り合いってところか。
そんなことを考えながらもテリーは将軍の話を聞く。
「傭兵を雇ったのは単純な戦力強化と思ってのことだが、まさか剣狼団がくるとはな。」
「将軍がどのようなお話を耳にされたか存じませんが、それほど大きな評価をしていただけて光栄でございます。」
「ふん、味方で良かったと思わせてみろ。」
不機嫌になる将軍に対し、テリーはニコニコと作戦を確認する。
「話を戻すが、先ほども言ったとおり本作戦は短期決戦だ。つまるところ....。」
「一点突破。または波状攻撃による息を与えぬ連続攻撃ですか。」
「腐っても戦争屋か。そうだ、今回は一点突破を図る。」
そういって将軍は机上の駒を動かす。
白い駒を固めて敵の斜めから襲うように、黒い駒を蹴散らす。
そんな将軍を見て、テリーは疑念を抱く。
「しかし、簡単にはいかないでしょう。相手も大国、このように簡単に済めば今まで苦戦しなかったでしょう。何か策が?」
「ふん、やはり鋭いな。外に出ろ。」
そういって将軍は天幕の中から出る。
それについていくと、将軍は自分たちから見て右を指差す。
「あそこの森は地盤が特殊でな。見た目は普通の森だが、中は木の根や自然現象による陥没で馬はもちろん人が通るのも困難なのだ。」
「それが何か関係が?」
「あそこを少数精鋭で強行し、敵の反対側に回り込み襲撃する。スパイの情報が確かなら、裏口の警備は少なく、戦闘が始まればおおよその人員は裏口から離れる。」
「なるほど、見つからなければそのまま敵大将首を掻っ攫えるわけですな。」
「そのとおり、そこで貴様ら剣狼団に頼みがある。」
その言葉に思わずいやな顔をしそうになるテリー。
大体、雇い主からの頼みごとはロクなものじゃないからだ。
それでも聞かなければ報酬がケチられる。
テリーはため息をこらえ、ニコニコと将軍に尋ねる。
「頼みとは?」
「少数でいい。貴様らの団員をそちらに回せ。」
頭を抱えたくなるテリー。
少数と将軍はいるが、団長である自分が戦場に出ないため、剣狼団は実質3人しかいない。
その中から少数といわれても、割合にすれば最低でも3割は超える。
バッカじゃねーの。
そういいたい気持ちを抑えながらテリーは将軍に物申す。
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