27人が本棚に入れています
本棚に追加
「将軍、将軍が私たちのことを評価していただいてることは光栄ですが、私たちは団員の数が少なく....。」
「それなら今回の話はナシだ。用は無い。」
そういって天幕の中に戻ろうとする将軍。
かすかに見えた薄ら笑いにテリーは頭に血が上りそうになるが、いたって冷静な口調で言う。
「わかりました。請け負いましょう。」
その言葉とともに将軍は天幕の中に戻るを止め、テリーに口だけ感謝する。
「感謝する。人員が決まればこの天幕の前まで来させろ。集合の時刻は夕暮れ前。二日後作戦開始とする。それまで好きにしろ。」
そういい捨てるなり、将軍は今度こそ天幕の中へと戻っていく。
テリーは天幕が集まる本陣から離れ、自分たちの馬車のところまで戻ると不快な表情を表に出す。
「うぜええええええ!!!」
戻ってくるなり突然叫んだテリーに、たまたま留守番してたイセリアの体を跳ねる。
豹変した団長にドットが後ろから声をかける。
「あいつ、嫌なやつ。」
「ほんとにな!?足元見やがってクソ爺め!」
「どうしたの?」
あまりに荒れる団長にイセリアが気を利かせて水を片手にそばまでやってくる。
テリーは水を飲み少し落ち着くとイセリアに説明する。
「今回の作戦、俺たちは二手に分かれるぞ。」
「え?ただでさえ少ない人員を分けるの?」
「突撃する本隊と反対の森の中から奇襲を仕掛ける部隊に分けるんだとよ....。」
「バカなの?」
「バカだよ。唯でさえ兵の錬度に差があるのに、無策の突撃で勝てるって信じてるんだからな。」
「おで、がんばる。」
「すまんなドット。」
テリーはそういうとドットに馬車馬の世話を頼む。
ドットはテリーの指示に従い、連合本陣から飼葉を貰いに向かう。
「....それで?どうするの?」
二人きりになったところでイセリアは改めてテリーに尋ねる。
テリーはため息をつきながら答える。
「森の地形が悪いらしくてな、正直選択肢がねえ。」
「というと?」
「奇襲部隊故に目立つドットはダメ、遠距離がメインのお前もおそらく部隊に置いてかれる。となると....。」
「俺の出番ってわけな。」
そういって、どこからかシェーザがテリーの背後から言う。
テリーはもう一度ため息をつくなり答える。
「そういうことだ。シェーザなら部隊に置いてかれないし目立たない。」
最初のコメントを投稿しよう!