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「なんだったら単騎で落としてみせるぜ?」
そういって力瘤を作るシェーザ。
そんなシェーザにテリーは真剣な表情で言う。
「いいか。正直、今回の雇い主は超がつくほどバカだ。」
「珍しいな。ハズレか。」
「俺の勘と経験と憶測によれば、自分の国の立場を上げるために手柄が欲しいんだよ。」
「手柄ねぇ。」
「タイミングを合わせた同時襲撃で一番に戦果を上げれば相応の地位が見えるだろうな。それも重要拠点を1日で落としたとなれば、連合に所属するほかの国に対して大きなアドバンテージだ。つまり....。」
「ハイリスクハイリターンを取りに行ったってことか。」
「そういうことだよ。勝率20%以下だけどな。」
「きっつ....。」
思わずお調子者のシェーザから漏れる言葉。
テリーも、再びため息をつくなりボヤキながら野営の準備を始める。
時刻は夕暮れ。急がなければ暗闇に包まれてしまう。
「団長、もうちょっと近くに寄らなくて大丈夫か?」
「あんな連中と仲良くできるかよ。それよかシェーザ、お前は本陣の総大将の天幕に行って来い。奇襲部隊の作戦説明があるはずだ。」
「おっと、そりゃ行かなきゃな。」
そういうとシェーザはテリーに行ってくると言うと本陣へと向かう。
残ったイセリアに、テリーは指示を出す。
「イセリア、今回はお前が現場の指揮を執ることになるが頼めるか?」
イセリアは少し考えるとテリーにいくつか質問する。
「別に全体の指揮はとらなくていいの?」
「かまへんかまへん。ドットにどこに行けとか、そんな適当でいい。」
「私の主な仕事は?」
「防御中心。砦に到着すれば破壊か、全体の支援。」
「敗戦の場合は?」
「全力逃走。生きて帰って来い。」
力強い言葉。
イセリアはそれを聞くと同じく強く頷いて応える。
満足したのか、イセリアはテリーの手伝いをはじめる。
二人は手際よくテントと食事の準備を進める。
ドットが戻ってきたところで、三人は談笑しつつ夕食を先にはじめる。
そうやって話してるところにシェーザが戻り、つかの間の平穏を満喫する。
決戦は2日後。
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