悪魔の囁き

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「秋山さん! 起きてください秋山一等海曹!」  けたたましい声と揺れに苛まれて、閉じていた意識が浮かび上がってきた。   酷く頭が痛い。  ぼやけた視界には自分を揺り動かす同じ服を着た人影が見え始めた。  厳つい顔の男達には見覚えがある。  何とか微睡む思考を、頭を振って全力で動かす。  それで、ようやく目の前の人間の顔を思い出し始めた。 「何があった、鮫洲?」  声をかけながら、視界に入る男達が一様に海上自衛隊の制服姿だと認識する。  辺りを見渡している制服姿は五人。  自分を入れれば六人か。  そこで自分が床に倒れている事を確認し、何とか上体を起こす。  状況確認で辺りを見回してから困惑する。 「何だ此処は?」  床はひんやりした石造り。  明らかに古い。  そこは広大な石造りの部屋の中だった。  最果ては暗くてよく見えないが、一番近いのはエジプト圏の建物の内部構造だと頭に過ぎる。    
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