悪魔の囁き

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 頭痛のせいか記憶が穴だらけで現状把握が全く出来ない。  こんな奇っ怪な場所に自分達がいるのには、どのような経緯からか?  秋山は記憶を手繰るのを止めて、現状認識に意識を切り替えた。  このだだっ広い空間にいる海上自衛隊のメンバーの顔は思い出せる。  自分達が乗っていた、あたご型護衛艦のクルーだ。 「現状報告! 分かる範囲で説明しろ」  この中では自分が一番上官だとは理解できる。  この場で指揮をとるのは自分の役割だ。    秋山の問いに、鮫洲と呼ばれた男がすぐさま答える。 「完全には理解出来ません。何故此処にいるのか、どう言う経緯で此処に至ったのか。その事に誰も思い出せません」  その答えに頭を振ってから秋山は立ち上がった。  覚えている範囲で最新の記憶を思い起こす。  護衛艦に乗っていたのは自分の服装を見れば明らかだ。  作業着にカポックを着用していることから、警戒か戦闘状態だったことを意味している。      
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