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青い空を背景に、咲き乱れる向日葵の花々。
その足元のくぼ地に二人の白骨化した遺体。
泥まみれだが衣類の乱れは無く、津波に巻き込まれた形跡は無い。
後から分かった情報だと海岸近くの家から遥々逃げて、ここに辿り着いたらしい。
母親と幼児だった。
当時、小雪が舞い散る程の寒さにも関わらず、母親は驚く程の薄着だ。
骨になっても娘を固く抱きしめている姿が憐れで仕方ない。
娘の姿は、見ることが出来ない。
何故なら、あの凍える寒さの中で、母親は自分のありったけの衣服で我が子を、
包んでいたからだ。
皮肉にも、写真の端に放射能による立ち入り制限の看板が映りこんでいる。
あの事故さえ無ければ救助が来ていたかも知れない命。
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