1:必要悪

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「あー、京子さん!こんな時間に出歩くなんて珍しいですねぇ」 「なんだい。丁度夕暮れ時が過ぎたぐらいじゃないか。全然問題ないだろ?」 「夕暮れ時が過ぎたところでって…。京子さん、一体全体今まで何してたんすか…。今は夜中の一時半っすよ」 うるさい客引き。いやキャッチというべきなのか。どうやらアタシはこの町の有名人ってところらしい。 だが珍しい。このあたりではキャッチ行為自体が規制されている筈。 そこんところは、どうやら上手くやりくりしているみたいだね。 「それに京子さん、最近このあたりで通り魔が出るらしいっすよ。サバイバルナイフを持った男のようです。だから単独行動は危険ですって!それにあなたはこの町じゃ顔の売れてる、いわば有名人だ。狙われるリスクだって…」 有名人か。気付けば…この町で何年暮らしているのだろうか。 その間、様々なことが起こった。まぁでも今はどうだっていい。 「まぁ。アタシの事心配してくれるのかい。でも大丈夫っしょ。その通り魔とやらがそんな都合よく現れるわけ…「きゃーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」」 突如真後ろから聞こえる悲鳴。この町じゃ悲鳴なんて日常茶飯事に等しいが、これは明らかに嫌な予感のする感じだ。 それも一人じゃない。複数人の甲高い悲鳴。どうやら噂の通り魔がタイミングよく現れたと言っても過言ではないな。 こういう物騒な話はしないほうがいいね。とんだ、ご都合主義だよ。 「嫌な予感がするわね。おいキャッチ、サツに連絡入れろ。大至急だ。あっちはアタシが見てくる」 「え、でも京子さん!」 「いいから、さっさとしやがれ。…それともその通り魔に切られたいのかい?」 京子の怒のついた言葉に、キャッチは大急ぎでスマートフォンを取り出し警察に連絡をし始める。 彼も焦っているのか、手元がおぼついていない。 焦るのは分かるが通報が遅れるのは少しまずい。 「焦りすぎだっつうの。…じゃあ、ちょっくら見に行こうかな。どんな面か見てみたいし。」
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