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「いたっ!あ、は、すみません!」
げんこつは少々やり過ぎただろうか。
…それにしても、この『近視町』ってところは本当に飽きない場所だ。
ホストクラブにキャバクラ、ゲームセンターにショッピングモールだってある。
いうなれば一日中遊んでいられるテーマパークのようなところだ。
でもそんなテーマパークにも穴はある。平穏な繁華街があれば、反対に犯罪が蔓延る繁華街があってもおかしくない。
「きゃーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
悲鳴の先に着くと、すでに其処は地獄と化していた。
どれも首を一閃。女、子供もお構いなしだ。
心臓を一突きじゃない辺り、なるべく苦しんで死ぬように切り傷をつけている。
「…。これはまずい所に出くわしちまったかね…。どうやらキャッチの小僧が言う通り魔っていうものが近くにいる臭いな。」
深追いは無用。直にサツ(警察)が来るはずだ、ここは逃げるに越したことない。
「あれれ~?お姉さん一人ですか~」
「っく…。」
聞きなれない声。声色からして男だろうか。
どうやらその男はアタシの真後ろにいるらしい。逃がしてはくれなさそうだ。
時間稼ぎになるかわからないが、サツがくるまで持ちこたえるしかないようだねぇ…。
「そうね。アタシ一人ね。なに?アタシを殺すわけ?偶々通りかかったか弱き女性をさ。」
「なぁにが『か弱い女性』だぁ~。こんな血生臭い所に平気な顔して自分からくるかよぉ~?」
相当精神的に追い詰められた人間のようだ。さっきから男性の声にしては声が甲高い。
それも無理にピッチを上げているみたいに。わざと自分から狂気を生み出そうとしている。
「アンタが噂の通り魔さんかい?だとしたら怖いね。こんなところに出会わせちゃうなんて、悪い意味で運がいいわ。」
「は?ふざけてるの?今の状況分かってる?お姉さん本当におかしいねぇ~…。」
そういうと、その男は少量の空気を吸ってきた。…くる。
「あれ?おっかしいな。今のを避けるなんてねぇ・・・まぐれか…な!!」
続けて、一振り。
ナイフの筋道を間一髪で避ける。
冷静になればこんなの簡単だ。相手は首元狙いの一発屋。
「二回も避けられた…。おもしれえええええよお前!!!」
「チッ…。なんだい?最近の若い奴は年上に対しての礼儀もなってないのか。」
「んだとぉ!?うるせぇぇぇ!!死ねぇぇごらぁ!!」
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