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すっかり震えの止まった手が離れると、そこには桜の花弁が残されていた。
「君にも、パレードを見せたくて。今年のはそりゃあ盛大だったから。
なんだか、あの子が生まれるのを祝ってくれているみたいだった!それで、いっぱい拾ってきたんだ。」
手のひらで始まった小さなお誕生日パレードは、どんどん賑やかになっていった。
それはもうたくさんだったのよ。“まだあるよ”って、ポケットから出るわ出るわ。
その話し振りと、両手から溢れるくらいの花弁から、それがどれほど素敵な光景だったのかが窺われる。
言葉を尽くして身振り手振り。
一生懸命してくれるのだけれど…一番伝わったのは、彼の上擦った声だったことは秘密にしておくわ。
ああ、いけない。私ったら思い出話ばかり。つまりね…
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