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「あー、もう! 分かったから! じゃあ、なにか現物をちょうだい。そうね……お金を……いや待って。あなたは鐘を渡してきそう。えっと、宝石……私に似合う、真っ赤な宝石でいいわ!」
ここまで指定すれば、ボケる事は出来ないだろう。
「真っ赤な宝石ですか。あはははは……だが断る! エ〇ジャの赤石は渡さんぞ、ジョジョ―――!!!」
……
……
「ジョ〇ネタでかわさないでよ!!! あなた、本当に神様なの!?」
再びタコはショボンとした。
「私のお小遣いは雀の涙なのです。この前、お腹が空いて財布を確認すると、30円しか入っていませんでした。その時、キラキラと光る100円玉を拾ったのです。これでオニギリが買える……そう考えた私の目に、交番が飛び込んできました。私は考えます。交番に届ければご苦労様と言われ、これはお巡りさんからだよって100円をくれるはず。良い事をしてオニギリも食べられると、私は喜び勇んで交番に届けました。その結果……ご苦労様って言われ、100円を奪われました」
……
……
「……なんの話!? あなた、大人だから当然でしょ!? 凄い能力を持ってるなら、自分に使えば良いじゃないの!」
「自分には使えないのです。皆さんを幸せにする能力なので……」
「えっ……そうなの? ゴメンね。その気持ちだけで十分だよ」
これ以上、関わり合うのは危険だ。私は天使のスマイルでタコを追い返そうと試みる。
「なんと、お優しい! 分かりました。せめて天使の様に優しい兎の助さんには、最高の美味を授けましょう!」
タコの体が一層輝きを増す。
そして……
……
……
……イカリングが三つ、空から降って来た。
イカリングが二つ、そのままベッドへとダイブする。そして残りの一つが兎の助の頭へと降臨した。
「キャア―――!!! 髪に油が! ベッドにも油が! なんて事をしてくれるのよ!」
「ハッピーバースデー!」
「どこがハッピーなの!?」
「頭の上にイカリングで、天使の輪っか……なんて小粋なギャグを挟みつつ、小腹も満たされ……」
私はタコの体を両手で鷲掴みにした
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