序章 マロンの探偵日記

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12月某日 風は肌をきるように寒い。 私、マロン・ケイクはライバルである名家、マスタード家の次女コロネを追ってこの街にやって来た。 コロネは本家というだけで、私と比べられていた存在。 分家の私の実家ケイク。 同い年の私が、本家カスタード家の次女の学友として育てられた。 コロネは自称美少女探偵。 そんなコロネの影響か、私も気づけば探偵としての基礎を身に着けていた。 私たちの故郷は、ツギーノ国のナモナキ村だ。 本家のカスタード家が、領主のマスタード家に濡れ衣を着せられた時は、私もショックだった。 そしてコロネは、カスタード家の汚名を返上するため、冒険者になったのだ。 この、ニェクスト街で……。 それを知った私はコロネの後を追うようにニェクスト街へやって来た。 半年にも及ぶ、冒険者養成学校アカデミーを卒業して。 時はすでに冬を迎えていた。 今は12月。 どこもかしこも赤と緑と白の3色コントラストでにぎわっている。 今頃コロネはどこにいるのだろう? 唯一の手がかりはこのニェクスト街へやって来たことだけだ。 ここは、ツギーノ国でも1,2を争うほど大きな街。 鉱山資源が豊富で地理的にも物流の拠点にもなっている街だ。
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