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「さて、お仕事だぁ!」
俺はリクライニング付きの椅子に寄りかかりながら楽な姿勢になった。
勿論、患者が来ればまともに座るのだが。
「騒がしいので静かにしてください。院長」
「いやー、院長なんて呼んでくれるのは君だけだよ。」
だってここ、個人で始めたとこだし。一応、感情系の医師をやってたりする。(ちなみに、本業はこっちで、点検作業はアルバイトみたいなものだ。)
俺はそう思いながら、そっけなく返した。
この人は、栗原さん(栗原 里奈)。
この医院(ていうか、カウンセリングセンターの方が近いかもしれない)唯一の従業員だ。
普段はほんわかしたイメージの眼鏡系女子なのだが、業務中は髪を纏める。ただそれだけでキリッとしたイメージに変わる。
このギャップがまた良い。とても良い。
普段のイメージが和みとすれば、業務中はカリスマ感が半端ない。ギャップ萌えとはこの事だろうか。
とてつもないギャップで和んで仕事を初める。これが日課になりつつある。
「私で和むのは結構ですけど、患者さんにはバレないようにしてくださいね。」
淡々と物申す姿がまたたまらん。
「分かってるさ。そういやまだ入り口は開けてないんだっけ?」
「先程私が開けておきましたが…不要でしたでしょうか?」
「いや、いいんだ。」
さすが出来る人がいると仕事が捗ってしょうがない。
「さて、初めようか。」
俺はそう言って重ねられたカルテを手に取り、軽い音をさせながら開いた。
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