愛するということ

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 *****  翌日の午前は北見の家にあった海外のSF映画を観て過ごした。午前十時を少し過ぎた頃に家を出て、アルバイト先の制服を取りに一度春人のアパートに寄り、店に向かった。  制服に着替えてホールに出ると、北見は窓際の席に陣取っていた。北見がこちらに目配せをする。春人は北見のもとへ駆け寄った。 「制服、似合っているな」 「ありがとうございます。……ご注文、お決まりですか」  春人が問うと、北見は店の看板メニューを注文した。春人はメモを取り、その場を離れた。注文をキッチンに伝えた後、いつ客が来てもいいよう店の入口の近くに立つ。 「あの人、知り合い?」  レジの番をしていた同期の女に小声でそう尋ねられ、春人は別段隠すことでもないだろうと思い頷いた。どういう関係かと問われ、さすがにセックスフレンドだとは言えず、父の古い知り合いだと嘘を吐いた。女は「ふうん」と言ったきり、またレジの前に戻っていった。どうやら女は北見に興味があるらしかったが、春人は大して気にしなかったし、彼女もそれ以上北見のことで何か言ってくることはなかった。  食事を終えて店を出る際、北見は春人に向かって「また来る」と言い残していった。実際、店の味が気に入ったのか、その日から北見は頻繁に春人のアルバイト先を訪れるようになった。
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