フレンド

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 *****  それからレオはたびたび春人のアパートを訪れるようになり、九月の半ば頃には、いつの間にか同居をしている状態になっていた。  レオの性欲は旺盛だった。二日に一度はレオが誘い、春人もそれに応えた。皮肉なことに、二人の体の相性は北見とのそれよりもよかった。そうしてセックスフレンドになった二人は、愛のないセックスを繰り返した。そのとき春人はやっと、自分がセックスに求めているのは愛ではなくただの快楽なのだということに気付かされた。それと同時に、ああやはり北見とのセックスにも愛はなかったのだ、北見に恋をしていたというのもすべて自分の錯覚だったのだと春人は悟った。 「あんた、普段は何をしているんだ」  同居するようになってすぐ、春人はレオにそう尋ねたことがあった。怪しい人間であれば関わりを絶たなければならない。そう考えたが故の問いかけだった。  レオは善光寺下のカフェで働いていると答えた。善光寺下は本郷の一つ先の駅だ。店の名を訊くと、それは過去に春人も友人と行ったことがあるカフェだった。もしかしたら店で顔を合わせたことがあったかも知れないな、と春人は何となしに思った。
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