フレンド

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 夕食後、何気なくテレビをつけると、またしてもあのドラマがやっていた。それは春人が北見と会う前に観た、あの刑事ドラマだった。続編がまだ続いていたのかと思ったが、どうやら十年前にやっていたものの再放送らしい。内容こそ覚えてはいなかったが、出ている俳優は当時のままだった。  春人の脳裏に十年前の出来事が蘇る。例の拳銃に父の指紋はあったが、母の指紋はなかったと聞いた。つまり、拳銃はやはり父のものだったのだ。どこで入手したのか甚だ疑問だったが、考えたところで答えが出ないことはわかっていた。  母は書斎に拳銃があったことを知っていたのだろうか。そう考えて、春人は頭を振った。知っていたら、春人の目の届く場所になど置いてはおかないだろう。警察に知らせるか、捨てるか、あるいはどこか別の場所で保管していたはずだ。 「春人は本物の拳銃を触ったこと、ある?」  唐突に問われ、春人は動揺しつつも「ない」と嘘を吐いた。 「レオはあるのか」 「ああ。昔アメリカを旅行したときに、一度だけ」 「どうだった」 「興奮したよ。あれは男なら誰でも興奮すると思う」  レオは恍惚の表情を浮かべる。ふうん、と春人は適当に相槌を打った。  記憶の中の拳銃は確かに男を興奮させるような代物だった。しかし、その後に起きた事件の記憶のせいで、春人は拳銃に対してあまりいい感情を抱いてはいなかった。  春人は自身の両手を見やる。グリップを握ったときの感覚と、トリガーを引いた瞬間の感覚。それらは僅かながらも、まだその手に残っていた。
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