フレンド

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 ***** 「おまえ、最近何かあったのか」  それから数日後、大学の食堂で昼食をとっていた際に、向かいに座る楢崎がそう尋ねてきた。何のことかさっぱりわからなかった春人は質問を返す。 「どうして」 「春人、なんかよく笑うようになった、っていうか……前より明るくなったような気がしたから」  楢崎の言葉に、春人はここ最近の自分を振り返る。事実、明るい性格のレオと出会ってから、春人は自分が以前より明るくなったように感じた。春人は昔から自分が他人よりどこか冷めた性格だと認知していた。しかし、今はもうそうは思わなかった。 「やっぱり何かあったんだな」  春人の顔を見て楢崎がにやにやと笑う。「別に」と春人はそっけなく言い放った。しかし楢崎はなおも笑いを絶やさない。 「恋人でもできたのか」 「新しい友達ができたんだ」  事実を述べたが、楢崎は納得がいかない様子だった。唇を尖らせる楢崎を見て、春人はくつくつと笑う。それと同時に、ああ確かに以前よりも笑うようになったかも知れないな、と春人自身も認めた。
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