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まだ彼の隣には、いけない。
そう思って、芥は呼びかけるのをやめた。
彼は覚悟してここを出て行くのだ。
なら、自分も同じように覚悟しなければならない。
叫び出したくなるような夜が訪れても。
彼のいない季節に、泣きたくなっても。
生きていることが、虚しいと感じても。
生き抜く努力を、しなければいけない。
この先の未来がどんなに理不尽で非情なものだったとしても、一緒に生きていくと約束したのだから。
芥はそれを思い出して、泣き腫らした目を擦った。
今はただ、出せない答えを導き出す為に、もがき足掻くしかない。
また、季節が巡って桜が咲く頃に。
再び会えるその日だけを心待ちにして。
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