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「……そうじゃのう。今の季節は祭りも多いから、意外と手近な女子と遊び歩いとるかもしれんのう」
「え」
「ほほっ、冗談じゃよ」
「もう……和尚様」
「すまんすまん。心配する篝がかわいくて、ついの」
あんなことがあったにもかかわらず、和尚は以前と変わらない態度で芥と接し、時々冗談を言って彼女の心を和ませてくれていた。
けれど相手がどんな悪人でも、人一人の命を奪った事実は変わらない。伊東の命を救えたことを後悔してはいなくとも、後味の悪さはいつまで経っても芥の中から拭いきれなかった。
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