第一章 二度目の春

3/13
52人が本棚に入れています
本棚に追加
/303ページ
今日はいつも通り午後からの剣術の稽古を終えて、道具の片付けをしていたのだが、ふいに芥からおずおずと話しかけられた。 「先生」 「ん」 「この間の約束、覚えてますか?」 「約束……?」 伊東が視線を芥から逸らして思い出そうと唸っていると、芥が可笑しそうに小さく笑った。 「やっぱり。忘れてると思ってました」 「……わるい、なんて言ってた?」 「今日の試合稽古で、私が先生から一本とれたら団子をご馳走してくれると」 「……あぁ。そう言えば言った気がする」
/303ページ

最初のコメントを投稿しよう!