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今でもふと、思うことがあった。
あの時ああしていれば、この時こうしていれば、こんなことにはならなかったんじゃないかと。
けれどどんなに悩んでいても、過去は変えられない。それならば、せめて伊東に追いつけるように……隣に居られるように、変わらず剣の腕を磨こうと芥は自分に誓ったのだ。
ーー冬を越えれば、春になる。春になれば、また先生に会える。だから、あとほんの少し辛抱するだけだ。
残っていたお茶を飲み干し、芥が稽古を再開しようと立ち上がった時だった。
「ーーっ」
それはあまりにも唐突で。
けれど一瞬だけ、彼に似た後ろ姿が芥の脳裏をよぎった。
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