第十章 さようなら

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「篝? どうしたんじゃ」 「いえ……その、気のせいかもしれないんですが……」 急に落ち着かなくなった芥を見て、和尚は察した。 「……誠一郎君か?」 「……わかりません。ただ、後ろ姿が見えた気がして」 「ならば、行ってきなさい。久方ぶりの再会を邪魔したりはせんよ」 そう言って和尚は悪戯っぽく笑った。 芥はこくりと頷いて、寺の門の方へ向かう。
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