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目の前には机の上に積まれた紙の山に飲み込まれそうになっている男が1人。それを机の向かい側から見慣れているのか、ほとんど無表情のまま眺めている2人の男女。
ここは王の執務室。だからといって派手な装飾や豪華な椅子や机、棚などはなく、効率や性能を重視したシンプルな棚には分厚い書物が綺麗に並んでいる。机の上にある多くの紙には戦による被害の報告がびっしりと書かれているものを、後ろで結わいた黒い長髪を振り乱しながら報告書に目を通しては右から左へと紙を送っている。
「ちょっと待ってろ。今終わるから」
黒髪長髪の机で報告書と戦っている男が、この国の王である。名はハタージ・ヘリオス。先代の王が早く崩御してしまったため、25歳の若さで王となり日々奮闘しながら国と民を守ってきた。
「また仕事??」
「違うぞ。いや、お前に頼むから仕事になるか……。」
王に対してぶっきらぼうに話しかけている男の名はフォルテ。黒い瞳に無造作に切られた黒い髪、何気なく立っているだけだが、見ているものを惹き付ける不思議な何かがある。
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