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「俺がこの国の王になって5年。俺もそろそろ自分の周りの力を増強しようと思ってな」
「それならもう俺たちで十分だろ」
「いや、力ではない。こっちだ」
ハタージはこめかみを指でツンツンしながらフォルテに諭す。それでも目線と手元は絶え間なく報告書を裁くことを止めない。
「それもお前たちぐらいに信頼の置けるやつらが欲しい」
ここでようやく長身の女が動いた。
「ハタ坊よ。かなり面倒くさい事を言うじゃないか」
王のことを『ハタ坊』と呼んでしまう女の名は、レイ・バークリウム。女性のエルフであり、長命のため先々代の頃から陰ながら力になっている。陰ながらと言うのも、レイが率いる部隊は非正規のものであり、王国に仕えている者たちでも知る人は王を含めて数名しかいない。その部隊の活動は暗殺であったり、戦の裏工作、情報収集など、秘密裏に行えて、かつ戦闘能力が高くなければ行えないものがほとんどである。
「そう、面倒くさい。試験を行っても人柄まで見ることはできないし、だからといってフォルテたちには内政をやらせることは出来ないからな」
ハタージは笑みを浮かべながら、残り僅かとなった報告書の山を裁いていく。
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