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仕事を始めた時はがむしゃらだった。パソコンなんて詳しくなかったから右も左もわからず、教育係になった先輩には物覚えが悪いと叱られ、自分の時間を削って仕事に取り組んだ。
仕事が少しできるようになったら回される仕事の量が増えた。初めて認められていると感じられた。必要とされていると実感できた。それが嬉しくてもっと仕事に時間を費やした。気がついたら楽しかった趣味も億劫になっていた。
そんな頃、たまたま時間が合った時に行った同窓会で私の勤めている会社がブラック企業だと知ったのだ。あ、やっぱりか。思ったのはその程度。学生の頃から自分が優秀でないのはわかっていた、それでもなんとかなるだろと自堕落に生活した結果が企業からきたこのお断りメールの数。そんなダメな私を拾ってくれたのがこの会社だった。だからこの忙しさも低賃金も自堕落な生活をしたツケだと思っていたし、他の会社もそんなもんだと上司はよく言っていた。それでも辞めていく同僚や先輩を見てればおかしい事にはさすがに気づく。だからそんな程度で済んだのかもしれなかった。
あれやこれやと仕事の話で盛り上がっていく最中、最近ではめっきり使うことのなかった仮病もスムーズに出てきてくれて、昔の私にちょっとだけ感謝した。
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