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「大丈夫、兄ちゃんが助けてやるから」
兄は大きな声で私に言った。
恋人も親友も失ってしまった。
信じれるのは家族だけだった。
私は粉々になった写真立てに背を向けて、兄にすがった。
私は声を上げて泣いた。
母も側で泣いている。
「全部忘れたらいい」
兄は子供をあやすように私を抱き締めた。
予定されていた結婚式の10日前に、田所家と秋篠家の縁談は破談になった。
私と雅人は、婚約破棄となった。
それは、紅葉が綺麗な11月の上旬のことだった。
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