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「ありがとう。変わらずに持ち歩いてるのね」
「ここ最近、ケガする子が側に居なかったから使わなかったけど」
二人で笑う。
「秋…今更なんだけど…」
「ん?」
「こんな外で堂々と大丈夫かな…」
秋は周りを見渡した。
「大丈夫だろ。誰にも尾行されてなかったし…今夜は慎の方に全部流れてるだろ」
秋はもう一度私の横に座った。
「それに、次撮られたら…もう嘘はつかない」
秋は私に優しく笑ってくれた。
「いいか?」
私は涙を拭う。
「いいよ」
私も笑って見せた。
秋の肩にもたれ掛かり、目を閉じる。
ホッとする。
「秋…眠い」
「えっ?」
「昨日あんまり眠れてなくて…」
ホッとしたら急に睡魔がやってきた。
「寒くない?」
「…ない」
「家まで待てないか?」
「……」
眠たくてもう応えられなかった。
「葵?」
秋が私を呼ぶのが堪らなく嬉しい。
「寝れるのか…」
秋が優しく包んでくれて、私は秋の鼓動を感じながら心地好くなる。
私はもう眠ってしまったことにして、その心地好さに身を委ねた。
「…葵、お誕生日おめでとう」
囁くように優しく言ってくれた。
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