16710人が本棚に入れています
本棚に追加
―あれから数ヶ月後
invitationと書かれたシルバーカラーの封筒を秋から受け取った。
「外、暑過ぎ」
秋は私の家のクーラーの前に立って涼を求める。
私は作りかけの料理をそのままにして、封筒を開封した。
中から出てきたのは、10日後に控えた慎とキャロルの結婚式の招待状だった。
「私も呼んで貰えるの?」
「キャロルが秋の恋人にも迷惑かけたからぜひってさ」
まさかの招待に驚きを隠せない。
そして場所を見てまた驚く。
私の実家がある隣の県だ。
東京から大分遠い。
「ローカルなとこでするのね」
「挙式は慎のじいちゃんの神社で。その後のパーティーは内々でらしいよ。キャロルは親日家で日本での挙式に憧れてたみたい」
「内緒でするの?」
「まぁ、どっかから漏れるかもしれないけど、一応そんな感じ」
「この日空けておいてって、これのことだったんだね」
秋から電話で、8月20日空けておいてと言われていた。
秋は少し涼んでから、そのまま床に座り込んだ。
8畳の部屋の地べたに秋が座っていている。
秋の自宅の広さを思うと違和感しかない。
私のお誕生日の夜から、私と秋はまた通じ合った。
秋は海外を行ったり来たりしながら、日本に戻ると隙を見て会いに来てくれていた。
最初のコメントを投稿しよう!