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―翌日の仕事のオフを使って、私は零さんのお墓参りに行った。
早朝に来たにも関わらず、お盆の時期だからか、零さんの墓前には溢れんばかりの花が添えられていた。
私もその中に花を供える。
そして、ろうそくとお線香を立てた。
零さんの好きだったシャンパンをハーフボトルで買ってきた。
開栓に手こずる。
かたい。
「何やってんの?」
声がして振り返ると、花を持って秋が立っていた。
キャップ帽は被ってるけれど、秋のままだった。
「どうして?」
「お盆だし、墓参り」
秋は私の手からボトルを取って、私に花を手渡した。
私は花を添えて、秋は開栓してくれる。
ポンッといい音が鳴って、少しだけボトルから泡が溢れた。
「グラスあるの?」
秋に聞かれて、紙袋から組立式のプラスチックシャンパングラスを2つ出した。
墓前に1つを置く。
「酒好きだったよな」
「特にシャンパンがお気に入り」
秋からボトルを受取り、私は零さんのグラスにシャンパンを注ぐ。
また秋が私からボトルを受取り、私が持つグラスに注いでくれた。
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