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秋はゆっくり時間をかけてから、ゆっくりとボトルを持って立ち上がる。
「どした?」
秋が私の顔を覗き込む。
私は何もないと首を横に振る。
「俺、そろそろ行くけど一緒に帰るか?」
「ううん、もう少しここに居る」
「…そうか」
秋はもう一度零さんを見た。
「またな」
声をかける。
そして、私を見る。
「次は20日だと思う。何で行く?」
「電車で…」
「一緒に行かないか?」
「大丈夫。向こうで」
「…わかった。気を付けてな」
秋の気遣いに笑顔で頷いた。
秋はゆっくりと零さんのお墓から離れる。
私は後姿を見送った。
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