エピローグ

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慎とキャロルの両家の家族と、メンバーと数名の両人の友人、私だけの本当にこじんまりとした式だった。 私は神前式の一番後ろの席で二人の式を見守った。 秋とは席が離れてしまって、私は秋の後姿を見ながら二人の姿を見た。 兄と美波ちゃんの式も、神前式だった。 懐かしく感じる。 緊張感の中にある厳かな雰囲気の式。 式後は近くのレストランで立食パーティーだった。 ウエディングドレスとタキシードを着た二人は、紛れもなく華やかな芸能人なのに、それを忘れてしまうくらい緊張感がほどけていて幸せそうだった。 あの世界のキャロルがここに居ることが不思議で、でも、慎の前では一人の女の子なんだと改めて思う。 スライドで写真や動画が披露されたり、歌やダンスがはじまるといっきに盛り上がりだした。 秋が会場に居ないことに気づいて、私は外に出た。 海が見えるテラスに出て、秋はそこで煙草を吸っていた。 「秋?」 呼び掛けたらこちらを見て、秋は手招きしてくれた。 私は側に駆け寄る。 煙草を消して携帯灰皿に吸い殻を捨てる。
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