デート

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ゴンドラ内は暗くて、互いの表情もはっきりと見えないはずなのに、そう言って照れ臭そうな笑みを浮かべる優の表情は、とても明るく見えた。 甘ったるいのに微かに酸っぱい、熟しきっていない蜜柑のような雰囲気に、俺は少し――いや、かなり――酔っていた。景色は徐々に変化していきながら、ゆっくりと俺たちが乗るゴンドラは下へ降りていった。 無言なのにとても心地よかったことを、俺はたぶんこの先忘れないだろう。 「ご乗車ありがとうございました。またのご利用お待ちしております」 明るい無機質なその声に現実に引き戻されたようだ。 「すっかり暗くなったな」 「…そうだな」 ぼんやりとした優の呟きに、俺は気の抜けた返事をした。その後、俺も優も疲れていたので、大した会話もないまま二人で帰りの電車に揺られていた。 そして、互いの家に帰宅した。 やることを済ませて、いざ寝ようとした時だった。疲れていて、今にも瞼が閉じようと思っていた。
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