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「いや、いい。うん、大丈夫、問題ない」
ぶつぶつと呟き服を脱ぎだしたリオに、俺も全部脱いで先に入る。
ああ、気持ちいい。うっとりとお湯に浸かっていると、同じく入ってきたリオが空を見上げている。
「気持ちいいな」
「だろ? 露天風呂にして正解だよな。リオも勝手に入っていいからな」
「ああ、うん。……ジルが言ってたの本当だったのか?」
「何が?」
縁に頭を乗せ、夜空へ登る湯気の行方を目で追いかける。
「寂しかったか?」
「あー、あー……まあ静かだな、とは思ったかな。たく、もっと気軽に来いよ。地下にもぐってるかもだけどさ」
「なんだそれ。んじゃクリスが寂しくないよう、ちょくちょく来てやるよ」
ニヤリと笑うリオにお湯をかけ、生意気だとぼやく。
まあそれでも、ちょくちょく来てくれるのならありがたい。
湯気の行方へ視線を戻し、まったりと二人で風呂を堪能した。
ああ、今日もちゃんと生きている。しばらくは食事の心配もいらないよ、と胸に手を当てて微笑んだ。
2017/4/8
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