1304人が本棚に入れています
本棚に追加
/174ページ
ファンタジーの定番ですね
0
塔へ戻り、瑠璃色コートへ着替える。肌色を出すのはお風呂の時だけで充分です。
居間で酒をコップに入れ、テーブルをトントン指で叩いている。
服を持って帰って来たノエルは、悄然と椅子に座ってうなだれている。
「いいか、ノエル君。まず抱く、抱かないは双方の同意があって行われなくてはいけない行為だ。今回の場合、俺が嫌がったんだからしてはならない。次に、ノエル君は俺と一緒にいたいと、口に出すべきだった。何も言わなければ相手に伝わらない。わかってくれない、帰すものかと暴走したことを反省しろ」
「……ここにいて欲しいと、言えば、いてくれますか」
「嫌です。絶対に帰ります」
やっぱり、と泣きそうになっているノエルに腕を組む。
「ノエル君は自分の気持ちを口に出せ。だいたい、君は俺のこと好きってわけじゃないだろう。誰でもいいからここで一緒にいられる相手を欲しがっている。魔力暴走の心配はもうないんだから、街へ行けばいい」
黙り込んでしまったノエルに、腕を解いて手を伸ばす。顔を隠しているピンクの髪を、そっと耳にかけてやる。
うーむ、見れば見るほどいい色だ。
最初のコメントを投稿しよう!